イギリス滞在中の数多くの経験を通して、ますみさんは有形無形の財産を、たくさん得たようです。「アル中だったケイも飲んでいないときは本当に素敵な老婦人でした、週に1Ⅲは『ビンゴパーティーに出かけてくるわね』とうきうきした様子で外出するし、『ファームに行ってデザート用のいちごをつんでくるわ』と、かくしゃくとして出ていく…:。。日本ではあまり見かけられないような元気なおばあさんでした」イギリスの人は、なんて心が豊かなんだろうとおもったと、ますみさんはいいます。地域社会を重視して、いろいろな形でコミュニティに参加する姿も印象的だったようです。ますみさんは、ご主人の定年後、今度はカップルで長期滞在をするつもりで計画中です。「次の目的は〃メモリアルベンチの研究″恋んです。ロンドンでの最後の日、テムズ川のほとりに座っていると、そのベンチに〃○○さんがこよなく愛した場所″と書かれているんですね。その○○さんは、別に有名人でもなんでもない、単なる市井の人だったんです。次に行くときは、こういうベンチのプレートを訪ね歩き、日本にもこの習慣を紹介したいものだとおもっています」日本の感覚でいうと、メモリアルプレートは著名人か、もしくはその土地に橋を作った、道路を作ったなどという、利益誘導型の政治家のものだとおもいがちです。普通の一市民のために、メモリアルを残すほど、ロンドンは心広き街なのでしょうか。日本の中高年は、今苦しい時期に向かっています。豊かな老後を送るというのは至難の業かもしれませんが、その選択肢のひとつとして、海外移住ならぬ、定期的なロングステイは、充分魅力的な試みといえそうです。